本研究会について
この前身の研究会(「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト連携研究会」)では、モデル生物として高度好熱菌 Thermus thermophilus HB8 を利用したシステム生物学的研究に関する情報交換を行ってきました。このような研究活動から、高度好熱菌タンパク質分子の立体構造にもとづいて生命現象を化学的に解析する方法が、極めて有効であることが明らかにされました。
実は、「丸ごと一匹」のアプローチを用いた研究が進められているのは、高度好熱菌だけではありません。真核生物では、酵母、線虫、ショウジョウバエ、マウス、シロイヌナズナなどがこれに含まれます。これらの「モデル生物」では、強力な遺伝学を背景として、遺伝子、タンパク質の生体内での機能が詳細に研究されています。最近では、高度好熱菌の場合と同様、ゲノムワイドな機能解析(トランスクリプトミックス、プロテオミックス、メタボロミックスなど)がこれらモデル生物においても利用されるようになっています。しかし、高度好熱菌での研究のように、分子の立体構造をもとにして生命現象を原子分解能で理解するまでには至っていません。つまり、各モデル生物の有用性には相補的な部分があり、このため、異なるモデル生物の研究者間の情報共有が研究の進展に有効であることが期待されます。
今年の「第5回モデル生物丸ごと一匹学会」(「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト連携研究会」から数えると第14回目になります)では、高度好熱菌に加えて、他のモデル生物を材料に「丸ごと一匹」のアプローチで研究を行っている研究者にも発表いただきます。異なるモデル生物を用いる研究者間の交流によって、モデル生物の丸ごと一匹をシステム全体として理解することを目指した新たな研究がスタートすることを期待しております。
奮って御参加下さい。
年会世話役代表・ 松野 健治
年会運営委員長・ 山川 智子
年会運営委員 ・ 稲木 美紀子
年会プログラム委員長・ 笹村 剛司
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