本研究会について(学会になる予定です)
これまでの「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト連携研究会」では、モデル生物として高度好熱菌 Thermus thermophilus HB8 を利用したシステム生物学的研究に関する情報交換とともに、種々のモデル生物についての情報交換も行ってきました。その過程で、高度好熱菌のような単細胞生物の生命現象は、以前考えられていたよりもはるかに高等動植物と似かよっていることもわかってきました。また、いずれの生物種においても、タンパク質(遺伝子)の1/3-1/2 が「機能未知」の状態で残されており、その状況は生命現象をシステムとして理解する際の障害となっています(倉光成紀 (2008) 生化学 80, 1075-1075; (2009) 生産と技術 61, 17-26)。それら機能未知タンパク質の中で、動植物から微生物まで共通で重要な働きをしていると考えられるタンパク質でさえも、まだ約200種類が機能未知の状態で残されています。それらの機能がいずれかの生物種で分かれば、他の生物種のシステムを理解する際にも役立ちます。
タンパク質の機能推定には立体構造情報が威力を発揮することがわかってきましたが、その他の機能推定法として、ゲノムワイドな機能解析(トランスクリプトミックス、プロテオミックス、メタボロミックスなど)なども利用されています。
一方、タンパク質の立体構造が多くの研究者の協力によって明らかにされた結果、フォールド単位ならタンパク質の立体構造が75%以上予測可能な時代になり(Kaufmann, K. W. et al. (2010) Biochemistry, 49, 2987-2998; Levitt, M (2009) Proc. Natl Acad. Sci. USA, 106, 11079-11084)、分子の立体構造をもとにして生命現象を化学的に理解できる範囲が、飛躍的に拡大されつつあります。それによって、生命現象をシステムとして原子分解能で理解する時代が始まりつつあります。
これまでの 「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト連携研究会」では、毎年約100名の研究者や若い学生の方々が参加して、講演の合間に、持ち寄った数十枚の全ポスターを3日間貼り続けて交流し、夜は SPring-8 の大自然の中できれいな星空を眺めながら、夜が更けるまで学問の夢を語り合ってきました。
今年は、第10回目となる「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト連携研究会」と「第1回モデル生物丸ごと一匹学会」の共催で、モデル生物の様々な側面について情報交換を行いたいと思います。それによって、原子分解能で、化学的にモデル生物システム全体を理解することを目指しつつ、将来、新たな学問分野が次々に創成されるようになることを期待しております。
奮って御参加下さい.
お申込み
発表申込み締切日:2011年7月25日2011年7月31日(締め切りました)
参加申込み締切日:2011年7月25日2011年7月31日(締め切りました)
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